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資産を守る第一歩

相続ならではの節税特例

相続した不動産には、条件を満たすことで大幅な節税が可能になる特例制度が用意されています。

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居住用財産を売却した場合の
3,000万円特別控除

相続した実家を、相続人自身が実際の生活の場として利用していた場合には、「居住用財産の3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。
この制度は、マイホームを売却した際の譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。
前項で解説した「空き家特例」と同じく3,000万円の控除を受けられる制度ですが、適用される条件は異なります。特に、建物の築年数や売却時の建物の状態などについては、空き家特例よりも利用しやすい点が特徴です。
ここでは、居住用財産の3,000万円特別控除について、制度の仕組みから適用条件、実際に利用する際の注意点まで詳しく解説します。

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居住用財産の3,000万円特別控除とは?

この特例は、簡単にいうと、自分が実際に暮らしていたマイホームを売却した際に、譲渡所得から3,000万円を控除できる制度です。
空き家特例と大きく異なる点の一つが、建物の築年数に制限がないことです。
例えば、昭和56年以前に建築された古い住宅だけでなく、築5年程度の比較的新しい住宅であっても、一定の条件を満たせば利用できます。
また、空き家特例のように、売却する前に建物を解体して更地にしたり、耐震改修を行ったりする必要もありません。
建物が古くなっている場合や、室内に家具などが残っている状態でも売却できるため、空き家特例と比較すると、実務上の負担が少ない制度といえます。

最も重要なのは「実際に住んでいたか」

この特例で特に重要なのが、売却する住宅が本人にとって実際の生活拠点であったかどうかという点です。
単に住所を置いていただけではなく、日常生活を送るための住宅として実際に使用していたことが求められます。
例えば、相続した家を売却するためだけに、「売却前に、とりあえずこの家へ引っ越しておこう」という考えで入居した場合には注意が必要です。
税務署から、特例を利用するためだけに形式的に入居したものと判断される可能性があるためです。
特に、引越しをしてから非常に短期間で売却するようなケースでは、実際に生活していたのかどうかについて確認される可能性があります。そのため、相続した家を居住用として利用する場合には、単に住民票を移すだけではなく、その住宅を本当に生活の拠点として使用していたという実態が重要になります。

実際の居住を示す
「ライフライン」の記録

実際に暮らしていたことを説明するうえで、重要な資料となるのが電気・ガス・水道などのライフラインの利用記録です。
例えば、毎月の電気・ガス・水道の使用量が、通常の生活をしていたことが分かる程度に記録されていれば、実際に居住していたことを示す客観的な資料となります。
そのため、領収書や利用明細などは、できるだけ保管しておくことをおすすめします。
一方で、基本料金だけが継続して発生しているような状態では、「実際には誰も住んでいなかったのではないか」と判断される可能性があります。
日常生活を送っていたことを裏付ける具体的な使用実績が重要になるのです。

住民票だけでは十分とは限らない

居住の証明というと、まず住民票を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、住民票を移しただけでは、必ずしも実際に居住していたことの十分な証明になるとは限りません。
形式的に住民票だけを移し、実際には別の住宅で生活していたというケースも考えられるためです。
そのため、住民票だけでなく、電気・ガス・水道の使用状況など、実際の生活実態を示す資料を残しておくことが重要です。

売却期限にも注意が必要

居住用財産の3,000万円特別控除には、空き家特例のような「相続から3年以内」といった期限はありません。ただし、別の期限に関する条件があります。
原則として、売却した年の1月1日時点でその住宅に住んでいること、または住まなくなってから3年以内であることが条件となります。
例えば、2026年1月1日にその家から転居し、2028年に売却する場合、2028年1月1日時点では転居から2年しか経過していません。
このようなケースでは、その他の条件を満たしていれば特例を利用できる可能性があります。
そのため、転居した日と売却予定日を確認し、特例の期限を過ぎないよう注意することが大切です。

過去に同じ特例を利用していないか確認

もう一つ注意したいのが、過去のマイホーム売却における特例の利用状況です。
前年や前々年に同じ3,000万円特別控除を利用している場合には、今回の売却で利用できないことがあります。
つまり、マイホームを売却してこの特例を利用した後、すぐに別のマイホームを売却して、再び同じ特例を利用することはできません。
相続した家を居住用として使用していた場合には、以前住んでいた住宅を売却した際の特例利用についても確認しておく必要があります。

共有名義の場合は
「誰が住んでいたか」が重要

相続人が複数いる場合、相続した不動産を共有名義にするケースもあります。
この場合に注意したいのが、実際にその住宅に住んでいた所有者であるかどうかです。
例えば、兄弟2人で住宅を共有しているものの、そのうち1人だけが実際にその住宅で生活していた場合、居住していなかった相続人の持分については、この特例を利用できない可能性があります。
共有名義の不動産を売却する場合には、それぞれの所有者の居住状況を確認したうえで、適用できる控除額を判断する必要があります。

「10年超所有軽減税率」
との併用も可能

居住用財産の3,000万円特別控除は、一定の条件を満たせば「10年超所有軽減税率の特例」と組み合わせて利用することも可能です。
10年以上所有していた居住用不動産を売却する場合、3,000万円の特別控除に加えて、譲渡所得に対する税率を14.21%(通常20.315%)に軽減できる場合があります。
例えば、親が40年以上前に購入した住宅を相続し、その後、相続人自身がその住宅で生活していたケースなどでは、これらの特例を組み合わせることで、税負担を大幅に抑えられる可能性があります。

特例を利用するうえで最も重要なこと

この特例を利用する際に、特に重要になるのが、「本当にその住宅を生活の拠点として使用していたことを証明できるか」という点です。
住民票を移しただけで安心するのではなく、電気・ガス・水道などのライフラインの利用明細や領収書など、実際に生活していたことを裏付ける資料を日頃から保管しておくことが大切です。
将来的に税務署から居住実態について確認を求められた場合にも、客観的な資料が残っていれば、実際の生活状況を説明しやすくなります。